11月はよく本を読んだ。
少しゆっくりする時間があったので読書三昧でした。
あと本にかけるお金はカウント外。必要にせまれて読む感じの本が多かった。
考えているテーマは、「共感」「優しさ」「共依存」「アダルトチルドレン」「愛」「主体性」
ちくまプリマー文庫に引用されていたパートがよくて本体を読んでみた。🌟
「共感」とは何か?ということについて悩んでいたので、これを読んで一つの答えが出た気がした。
好きなポッドキャスト、「
となりの雑談」から本がでた!自分には理解できないものを理解して、未来に進む元気をくれる本。私は、スーさん側に近い考え方をするし、サクちゃん側の要素の大概は理解できないってなるけど、こういう人間もいるものか、、と思う練習をしている。サクちゃんは、自分のものの味方や自分がどう理解しているかをおだやかに説明できるところが良い。「穏やか」とか「優しい」というのはただ態度がやわらかいだけではないんだよな、とこれよんでいて思う。サクちゃんの表現は考え方は違っても、卑屈でも陰鬱でもないかんじがして良い。土の民のパートナーを見ながら、サクちゃんみたいな見方ができるようになってくれたらいいのになーとか、この本読んでほしいなーとかめっちゃ思うが、叶いそうにない。
「観察」とはどういうことか、ということを考えたくて買った。日高敏隆といえば動物行動学で有名。最終講義やエッセイがまとめれていて装丁も良い。
「なぜをあたため続けよう」が良かった。まだ動物の行動が人の目線でみられていた時代、まったく想像もつかないような生活をしている生き物を動物の感覚から考えることをしていた人のものの見方が、生前最後の1冊にまとまっていていい本だった。
- 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら 東畑 開人 (著)
生活の中で身近な人をケアしなければいけなくなった時に必要な技術。あとで要点まとめたい🌟
「雨の日の心理学」はエピグラフが良い。そのエピグラフの一つで良かったものがあったので本体読んだ。「優しさ」とは何か、共感とは何かをずっと考えていて、この人の優しさについて共感についての言葉が、とてもやさしくてよかった。
物も人も近くから、最大限に厳粛な気持ちでじっくり観察する必要があります。それらを私の内に取り込み、人格を与えるのです。
優しさとは、人格を与える技術、共感する技術、つまりは、絶えず似ているところを見つける技術だからです。
- カウンセラーは何を見ているか (シリーズケアをひらく) 信田さよ子 (著)
信田さよ子さんの本は一度読んでみたいと思っていたけど、ど真ん中の母子関係とか共依存とかのを読む元気がなくて、まずは編者が信頼できる「ケアを開く」シリーズから、カウンセラーがどういう仕事をしているかという一冊。精神科での経験も面白いし、本を書くのはカウンセリングルームの顧客獲得のためと言い切っているのが、逆に安心して読める。ここで信田さんは「共感」という言葉をつかわないとか、感情を特権化しないとか言っている。こういう「共感」のほうが私は理解できる。これは技術で訓練で身につけることができる。
私にとって共感は、クライエントの置かれた"状況”を類推することで、あたかも私が同じ”場面”にいるように感じる、という結果をだどる。<中略>
目の前に座っているクライエントの「感情」を推察して入り込むのではなく、そのとき生じる自分の「感覚」にこだわってきた。それを邪気したクライエントの言葉を文章として、読解し、構造化し、想像力を駆使して、私なりに映像化しようと試みてきた。
「共依存」について一番知られている一般向けの本な気がする。「共依存」といことばが、アルコール依存症に関連した言葉としてどう使われてきたか、「アダルトチルドレン」と関連してどういう状態を示すのか。言葉の使いかたについて信田さんがどう思っているか、フェミニズムと関連して共依存について注意してみていることは、など。これ一冊ではわからないことがまだまだあるけど、一つまとまって共依存というテーマについて読める一冊だった。ここまでの理解とは、共依存とは主体性を失っていく苦しい関係性、という理解。中盤にでてくる「パターナリズム」という概念が新しく得た知識で、結構大事だと思った。パターナリズムの特徴とは以下。
1. 自己と対象の意思を同一視することから成立する。
2. その行為は善意・良識に従ったものである。
+世話やケアの対象は無知であり判断力を欠き、世話やケアする側はそれを有しているという前提。そこに発生する非対称的な関係、権力が含意されている。
- 自己否定をやめるための100日間ドリル 坂口恭平 (著)
ネガティヴな話と理想主義とセットの自己否定をし続ける話を聞くのがしんどすぎて買った。双極性障害を公言している坂口恭平さんの本は前にもウツを抜ける時に料理をしていた本を買ってた。自己否定する仕組み、そこから抜け出す仕組みがまとめられていて良かった。なんだかリラックスしている時に楽しそうに自己否定しているな、なんなんだこれは、、と思いながら観察していたのだけど、それに対して少し理解が深まった。ここではこんな風に言ってた。
自己否定とは幼少のころから少しずつ身につけた生き伸びるための技術。
自己否定は「葛藤」を引き起こすためだけけにあり、それ以外は意味がない。そして「葛藤」の役目は、私たちが本来向き合うべき問題から目を逸らすことにある。<中略>その葛藤は、「さびしさ」を隠すためにある。
ここまで書いて思い出して、あとカウンセラーさんの話を聞いて思い出したけど、自己否定について肯定的な見方を提示すると再度否定されるのなんでやま思っていたけど、己否定する理由が、「さびしさ」を隠すためなら仕方ない。自己否定する自分まで認めてほしい、ということならひたすら復唱して受け入れるしかないなぁ。
教科書っぽい構成の本。15章くらいでできているが、各章にエクササイズの質問がついていて、自分自身について振り返りながら読めるのが良い。
- 利他・ケア・傷の倫理学 「私」を生き直すための哲学 近内悠太 (著)
ケアとは何か、利他とは何か。倫理学ではどう考えるのか、を知りたくて。
定義を少しずつ書き換えていく表現方法が面白かった。冒頭の定義は
「利他とは、自分の大切にしているものよりも、その他者の大切にしているものの方を優先すること」
そして、ケアや傷についての考え方を整理しながらたどりつくのは、
「利他とは、相手を変えようとするのではなく、自分が変わること」
詩集を送りたくて探していたもの。最果タヒさんは2017年ごろに
She is というウェブメディアで詩のグッズをつくっていて、このメディアが好きで知った。気に入ってもらえたようなのでとても嬉しい。
- 論理的思考とは何か (岩波新書) 渡邉 雅子 (著)
アメリカ、フランス、日本、イランの4カ国において「論理的思考」とはどういうものだと捉えられているかを、高校までの作文教育の内容で、比較分析した本。理系、論文の世界ではアメリカ式の「論理の型」が当然だとおもっていたが、日本の教育現場も含め全てが同じではない。特に日本の感想文が、アメリカやフランスの型のような論証の形をとらない。というのは、これまでの違和感とあっていた。
ここで重視されるのは社会の構成員から「共感されるか否か」である。
・・・共同体を成り立たせる親切や慈悲、譲り合いといった「利他」の考えに基づく個々人の「善意」が社会領域の道徳を形成する。道徳形成の媒体となるのが「共感」である。
日本社会の動き方が対立を避けたり、他者の感覚を自分のもののように取り込んで感じることによって、他者の期待を理解しその期待に応える行為で成り立っている。それを実行する手法の一つが、共感に重きをおく「感想文」だ。ということらしい。
モアナの映画を見て、久しぶりにオセアニア・メラネシア・ポリネシア文化について学びたくなった。
積読中
雨の日の心理学のエピグラフの中に出てきたオルガトカルチュクは、2018年のノーベル文学賞受賞者。受賞作を読んでみるかと思って。
内容も気になるが、文字組もなかなかすごい。
- 問いが世界をつくりだす: メルロ゠ポンティ 曖昧な世界の存在論 田村正資 (著)
応援したい元哲学者の本。
- 共依存の倫理―必要とされることを渇望する人びと小西 真理子 (著)
博論をまとめた一冊。「共依存」について引用も多いので概観できそう。
パターナリズムについてもっと知りたいと思ったけど、適当な本が全然見つからず。引用にあったこれを探してきた。
- ヤンキーと地元 ――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち (ちくま文庫) 打越正行 (著)
上間陽子さんと同様に気になっていた沖縄をフィールドにした社会学者の方の本。読みたいと思っているうちに亡くなってしまった。
上間陽子さんの「海をあげる」「裸足で逃げる」は泣きながら読んだ。今気になっている二人の対談。
タコとの精神といえば読まずにはいられない。
動画とお出かけは別記事にしよう。